こんにちは、町野皮ふ科のウッチーです。
汗が気になる季節になってきましたね。当院では汗の悩みに対応できるお薬を処方しています。
今回は手汗(原発性手掌多汗症)に対して効果のある、日本で初めて保険適用になった塗るお薬を
紹介します。
日常的にかく汗は体温調節をはじめとし、私たちの身体にとって重要な役割を担っています。
しかし、気温や運動時に関係なく、病気などの明らかな原因がないのにもかかわらず、
日常生活に支障をきたすほど手のひらにたくさん汗が出てしまう状態を「原発性手掌多汗症」といいます。
原発性手掌多汗症の患者さんは国内で約500万人いると推測され、決して珍しくはありません。
20数人に1人は手汗で悩んでいることになります。
多くは10代頃に症状が現れはじめ、学校生活や仕事にも支障をきたしていることがあります。
また、治療法があることが知られていないために、大人になっても手汗のために困っている方が大勢いる
と考えられます。
≪原発性手掌多汗症の診断基準≫
手汗が6カ月以上続き、以下の6症状のうち2項目以上当てはまる場合「原発性手掌多汗症」と
診断されます。
1.最初に手の多汗症状が出たのが25歳以下
2.左右の手のひらに汗をかく
3.睡眠中は発汗が止まっている
4.1週間に1回以上、手の多汗症状がみられる
5.家族に同じ症状の方がいる
6.手汗のために日常生活に支障をきたしている
2項目以上当てはまる方はぜひ受診を考えてみてください。
発汗を抑える主な治療として、塗り薬、注射薬、抗コリン経口薬、イオントフォレーシス、手術など
があります。
今回紹介するお薬「アポハイドローション20%」は手のひらの皮膚から吸収され、皮膚の下にある
交感神経から出される発汗を促す物質をブロックすることで、過剰な発汗を抑えることが期待されます。
12歳以上の方から使用することができます。
新しいお薬のため、この先1年間は2週間に1回の処方となります。
≪アポハイドローション20%の使い方≫
アポハイドローション20%は1日1回就寝前に両手のひらに塗り広げそのまま就寝します。
①お薬を塗る前に、手のひらの水分などをよく拭いてください
②手のひらにお薬を適量出します(1回分の目安は5プッシュです)
③左右の手のひらに均等に塗り広げます
④お薬を塗ったまま就寝します
⑤起床後は手を流水でよく洗ってください
使用上の注意
・お薬を塗った後は手が濡れないようにしてください
・起床後に手を洗うまでの間は目や口をさわらないでください、万が一目に入った場合は
すぐに水で洗い流して下さい
・お薬を塗った手を手袋などで覆わないようにしてください
主な副作用
・塗ったところの炎症、かゆみ、湿疹などの皮膚の異常
・口が乾く
・尿が出にくい、出ない
・便秘、お腹が張る
(その他)
お薬を使用中は自動車の運転や危険を伴う機械の操作に注意してください
高温下での作業や激しい運動、夏場などは体温の上昇に注意してください
アポハイドローション20%は毎日塗り続けることで安定した効果が得られます。
手汗でお困りの方、また、今までの治療で効果を得られなかった方はぜひご相談ください。