こんにちは。町野皮ふ科のももたろうです。
町野皮ふ科では、皆さまに最新の医療を提供できるよう、毎月勉強会を行い知識を深めています。
5月の勉強会についてお知らせいたします。
《5/15 スぺビゴについて》
スぺビゴは、膿疱性乾癬の点滴の治療薬です。
膿疱性乾癬とは、発熱や身体のだるさとともに、皮膚が赤くなりバイ菌がいないのに膿疱(膿のたまり)がたくさんできる病気です。
膿疱性乾癬は身体の免疫システムに異常が生じることで発症すると考えられています。膿疱性乾癬の発症には、炎症性サイトカインという物質のIL-36が深く関わっていると考えられています。
スぺビゴは、膿疱性乾癬の原因となるIL-36の働きを抑え、急性症状の改善に用いる生物学的製剤です。
1回の点滴を原則90分かけて行います。急性症状が続く場合には、1週間後にもう一度追加で点滴をします。
当院ではスぺビゴは取り扱っていませんが、膿疱性乾癬の患者さんへは埼玉医大等へご紹介し、スぺビゴを検討していただくことがあるかもしれません。
スぺビゴは、発症早期に効果的なお薬です。皮膚が赤くなり、膿をもってくるようなことがもしあれば、すぐに受診して下さい。
《5/28 モイゼルト軟膏について》
モイゼルト軟膏は、アトピー性皮膚炎の治療薬です。生後3か月のお子様からご使用いただけます。
アトピー性皮膚炎にはステロイドの塗り薬を正しく使うことが必要ですが、症状が落ち着いてきたらステロイド以外の塗り薬を使っていきます。モイゼルトはそのようなステロイドではない塗り薬です。
モイゼルト軟膏は、ホスホジエステラーゼ(PDE)4の活性を阻害して抗炎症作用をもたらし、軽症から中等症のアトピー性皮膚炎の症状を改善します。ホスホジエステラーゼとは、細胞間の情報伝達物質を調整する酵素です。肌が荒れて炎症が起こっているとき、その炎症にはホスホジエステラーゼ4が関わりますが、モイゼルトはそれを鎮める働きがあります。
アトピー性皮膚炎は、速やかに炎症を改善させ、症状を繰り返さないことが大切です。一見きれいにみえても「かくれ炎症」が存在することがあるため、症状のある部分だけではなく、見た目がきれいな皮膚を含め全体にのせるようにモイゼルトを塗ってください。
塗り薬による治療を継続し、将来的にはスキンケアだけで皮膚をよい状態に保つことを一緒に目指していきましょう!
《5/29 ソーティクツ錠について》
ソーティクツ錠は、乾癬治療薬として効果が期待される飲み薬です。
乾癬は、慢性に続く皮膚の炎症を中心とした病気です。乾癬の患者さんでは、遺伝的要因や環境要因によって免疫が異常に活性化しており、その結果皮膚の細胞の増殖が早まり、皮膚の角化や炎症、表面が剥がれ落ちるといった症状が現れます。
ソーティクツ錠はTYK2というたんぱく質の働きを抑えることにより、TYK2が関わる免疫反応を抑えることで乾癬の症状を改善すると考えられています。
当院では、ソーティクツ錠の他にオテズラ錠も処方しておりますが、ソーティクツ錠の方がより高い効果が期待できます。通常、使い始めてから24週以内で効果が得られるといわれています。そのため、早期に「効果がない」と判断せず長期的に治療をしていくことが重要です。効き目はゆっくりですが、継続していくことで高い効果が期待されます。
8月よりお値段が下がり、4週間分で3割負担の方は約21,000円となります。現在の価格より約2,000円お安くなります。
乾癬治療には飲み薬だけではなく、塗り薬や光線治療などもあります。当院では光線治療も行っていますので、お気軽にご相談ください。
町野皮ふ科では、新しい薬も積極的に取り入れています。
アトピー性皮膚炎や乾癬で長く悩まれている患者さんは、ぜひ受診してみてください。
その他皮ふのお悩みでお困りの方も、当院にご相談ください。
スタッフ一同定期的な勉強会で知識をアップデートしながら、よりよい医療を提供できるように努めていきたいと思います。