手や足のブツブツ・皮むけ(汗疱、掌蹠膿疱症)|町野皮ふ科|坂戸市にっさい花みず木の皮膚科

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手や足のブツブツ・皮むけ
(汗疱、掌蹠膿疱症)

ホーム > 診療メニュー > 手や足のブツブツ・皮むけ(汗疱、掌蹠膿疱症)

汗疱・掌蹠膿疱症とは

手足にブツブツが出たり、足の皮むけがおこる皮膚の病気には水虫(白癬(はくせん))がありますが、その他の主な病気に汗疱(かんぽう)と掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)があります。水虫(白癬)だと勘違いされて来院する方もたくさんいます。

大まかな症状の違いとしては、汗疱はできる水疱が透明で比較的小さくなるのに対して、掌蹠膿疱症は水疱が膿を持ったように白く濁ります。ここでは、汗疱と掌蹠膿疱症がそれぞれどんな病気なのか説明します。

手や足のブツブツ、皮むけの種類

  • 汗疱(かんぽう)とは

    汗疱とは汗の出口のところで起こった炎症によって生じる病気です。そのため、汗の出口が多い手の平や手の指、足の裏や足の指でよく見られます。水虫とは全く別の病気で、誰かにうつることもありません。

     

    症状は手の平や、特に指の縁(指の横)の部分に、まずプツプツとした盛り上がりができたり、さらにすすむと水疱ができたりします。プツプツや水疱のできはじめは痒みがでることもあります。場合によっては少し赤くなることもあるかもしれません。その後落ち着いてくると、日焼けのあとのように薄皮がむけていきます。汗がきっかけになることも多い病気なので、春から夏にかけて多くみられます。

    季節の変わり目などに多く、手のひらや足のうらに汗をかきやすい方に多くみられます。小さなお子さんや小中学生、高校生は活発に活動するので、汗を多くかき、症状もでやすいです。

     

    痒みが強く赤みがある場合は汗疱性湿疹(かんぽうせいしっしん)や異汗性湿疹(いかんせいしっしん)と呼ぶこともあります。

    特に足にできた場合は水虫(白癬)の症状によく似ているので、患者さんは水虫(白癬)と思われて受診されますが、汗疱だったということも少なくありません。

  • 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)とは

    掌蹠膿疱症とは手の平や足の土踏まず、かかとなどに、汗疱とは違って過剰な免疫の反応が起こり、免疫の細胞である好中球という細胞がたくさん集まってきて、あたかもばい菌感染が起こっているようなことが汗の出口で起こってくる病気です。

    まず透明な小さい水疱や黄色い小さい膿疱ができます。古い膿疱がなくなると、新しい膿疱ができて、これが繰り返し起こります。

    まれに肘、膝、すねなどにも症状が出たり、爪の変形、胸骨や鎖骨部分の痛みがでる方もいます。

    膿をもったように白くプツプツしますが、その膿自体には細菌はいませんので、ほかの部位や他人にうつることはありません。汗疱は一時的なことが多いですが、掌蹠膿疱症は繰り返しその状態が何年も続くことがあります。膿疱はその後茶色くかたくなって、それがむけて鱗屑と呼ばれる皮むけができたり、赤くなることがあります。膿疱は1㎜~5㎜程度の小水疱や小膿疱です。膿疱ができるところに痒みがでる場合があります。

    掌蹠膿疱症はタバコと大いに関わりのある病気で、とくに女性の場合はほとんどの方が喫煙者です。虫歯や歯周病、歯科金属などの金属アレルギーが関係していることもあります。

    風邪や副鼻腔炎、扁桃炎などの上気道炎症状などがきっかけとなって膿疱がでてくることもあります。

町野皮ふ科のこだわり

  • 1
    似た症状でもある時は汗疱、ある時は水虫のこともあるので顕微鏡を使ってしっかり診断をつけます。
  • 2
    掌蹠膿疱症の誘因に対応します。禁煙指導や金属パッチテスト、歯科への紹介も可能です。
  • 3
    難治な掌蹠膿疱症であっても、内服薬や光線治療で軽快を目指していきます。

診察・検査について

  • 汗疱の検査

    汗疱の特別な検査はありませんが、実際の症状を診るため、靴を脱いでもらったり、手の状態を確認させてもらいます。

    足の状態については見ただけでは水虫(白癬)と見分けがつかないこともあるので、むけている皮膚や水疱の一部をつまんで取って、顕微鏡で水虫(白癬)の菌がいないかを確認することがあります。

    その他に特別な検査はありません。

  • 掌蹠膿疱症の検査

    掌蹠膿疱症でも実際に出ている皮膚の症状を確認させていただきます。

    掌蹠膿疱症は白く膿を持った状態から茶色くカサカサや皮がむけている状態もあるので、普段どんな症状があるのかうまく伝えられるように、症状にどんな波があるのか伝えられるようにしてください。

    いつからどんな症状があるのかも確認させていただきます。

    症状を確認するうえで、水疱が透明なものなのか、白く濁ったものなのか、汗疱との違いを確認するのに大事なことなので、確認していきます。足の症状は水虫(白癬)と似ているので、水虫の菌を調べるために顕微鏡検査をすることもあります。強く光をあてて、拡大する機器(ダーモスコピー)で症状の確認をします。

    掌蹠膿疱症はタバコが大きくかかわる病気なので、タバコを吸っているか、一日何本、何年間吸っているかも確認します。歯の状態、虫歯の状態や歯ぐきについてもうかがいます。のどの腫れや、副鼻腔炎についても状態を教えてください。

    金属アレルギーが悪さをする場合もあるので、疑われた場合は金属パッチテストの予定をたてます。

治療法について

  • 汗疱の場合

    まず、わずかな皮むけだけで水虫の心配をして受診される方もいますが、わずかな皮むけだけの場合には、自然に良くなることも多いので、丁寧に指の間を洗っていただいて、そのまま様子を見ることもあります。

    皮むけだけで、痒みなどもない場合は、保湿剤だけで表面を保護することもあります。

    赤みや痒みもある場合はステロイドのぬるお薬を処方します。痒みが強い場合は痒みを抑える飲むお薬も処方します。

    皮がむけはじめたらある程度むけきらないと落ち着きません。プツプツもある方はその後皮がむけて、その後落ち着いていきます。ある程度回復するまでに時間がかかります。残念ながらお薬ですぐに症状を消すことは難しいです。

    汗が多くて何度も繰り返す方は汗を抑える塩化アルミニウム液(院内製剤)やDチューブ(医薬部外品の制汗クリーム)をおすすめしています。足の臭いを気にされる方にもおすすめです。

    当院の塩化アルミニウム液は使い方にもよりますが、2本で3、4週間使えます。Dチューブは使い方にもよりますが1本で1カ月使えます。

  • 掌蹠膿疱症の場合

    <禁煙>

    まず一番大事なことはタバコを吸っている方は禁煙することです。

    掌蹠膿疱症の患者さんの多くはタバコを吸っています。どんなに塗るお薬を塗ったり、飲むお薬を飲んでも、タバコを同じように吸い続けるとなかなか治りません。タバコ以外の症状の原因として多いものは、虫歯や歯槽膿漏などの口の中の問題があることが多いので、歯医者さんでしっかりとした治療をしていただく必要があります。掌蹠膿疱症になった場合は、歯や歯ぐきについて問題ないと思っていても、歯科を受診して状態を確認していただくことをおすすめします。

     

    <塗るお薬>

    塗るお薬では、ステロイドの塗るお薬を使います。これは主に炎症を抑えるお薬です。赤みやプツプツがでているときにはステロイドのお薬が症状を抑えてくれます。また、ビタミンD3の塗るお薬も使います。これは皮膚が形成される過程の異常を正常にするお薬です。また、膿疱や水疱を抑える効果もあります。強い炎症がステロイドのお薬でだんだんと落ち着いてきたら使うお薬でもあります。ビタミンD3のお薬の代わりに、サリチル酸ワセリンを使うこともあります。このお薬はガサガサと硬くなった皮膚を柔らかくします。

     

    <内服療法>

    外用療法であまり効果がない時などに内服療法を行います。ビオチンと呼ばれるビタミン剤や整腸剤が経験的に掌蹠膿疱症に効果がでることもあるので、それらが処方されることがあります。痒みが強い場合は、抗アレルギー薬を飲むこともあります。

     

    <抗生剤>

    症状が強い場合には、抗生剤を処方する場合もあります。

    掌蹠膿疱症の原因に慢性的なばい菌感染が悪さをすることがあるので、抗生剤の飲むお薬(菌を抑える働きだけではなく、慢性的に繰り返す炎症を抑える働きがあるものが選ばれます)が処方されます。抗生剤を飲むことで、関節の痛みが抑えられたり、膿疱の出現が抑えられることなどもあります。

    掌蹠膿疱症で飲む抗生剤は1週間などの短期間ではなく、2、3か月を目安に、比較的長く飲むことが多いです。菌を抑えるために飲むことというよりは、慢性的に繰り返す炎症を抑えるために飲むことが目的となります。

     

    <ビタミンA誘導体>

    そのほかに、手足の症状が強く、日常生活に特に困ってしまう場合には、チガソンというビタミンA誘導体を飲むこともあります。このお薬は皮膚が形成される過程の異常を正常にするお薬です。厚くなってしまった皮膚を薄くする作用があります。ただ、飲むにあたっては肝臓の機能に影響を与えてしまうこともあるので、採血の検査をして肝臓の機能の確認をしてから、処方されます。飲み始めてからも、肝臓の機能が悪くなってないか採血をして確認していく必要があります。また、催奇形性があるためチガソンを飲んでいる間は避妊が必要です。飲み終わってからも、男性は6か月、女性は2年間の避妊が必要となるために、若い方には通常使われません。献血もできなくなります。チガソンは皮膚を薄くする働きがあるので症状を良くしていくのですが、皮膚が乾燥しやすくなったり、特に口周り、唇の皮膚が荒れやすくなるので保湿剤なども一緒に使う必要があるかもしれません。人によっては脱毛が気になる方もいます。ただ、手足の症状が強い場合には、チガソンを飲むことである程度症状を抑えることができるので、そのような副作用を考えても、注意して飲んでいくこともあります。

     

    <紫外線をあてる治療>

    掌蹠膿疱症では、塗るお薬、飲むお薬以外に紫外線をあてる治療を行うこともあります。なぜ紫外線をあてることが治療になるかというと、紫外線をあてることで、皮膚表面で起こっている免疫の症状を抑えることができるからです。

    むかしはUVAをあてるプーバ療法でしたが、最近はUVBの中でも治療効果の高い狭い領域の範囲の波長を照射するナローバンドUVB療法という治療が行われています。ナローバンドUVB療法はUVAを使った治療に比べても、紫外線による発がんなどの副作用も少ないことが知られています。当院ではこの、ナローバンドUVB療法を行っています。そのほかの紫外線療法としてはエキシマランプという、より波長の限られたUVBを使うこともあります。

     

    <金属アレルギー>

    掌蹠膿疱症で禁煙をしても口の中の状態を良くしても塗るお薬を塗っても、飲むお薬を飲んでも治りが悪い場合は、そのほかに悪さをしているものがないか、ということを考えていきます。その場合の原因として、考えられるのが、金属アレルギーになります。

    金属アレルギーがなぜ掌蹠膿疱症に悪さをするのかというと、歯医者さんの治療で詰め物として口の中へ使われた金属等が、体の中に吸収されて、手足で症状がでてしまうといわれています。

    金属でかぶれた経験がある人はもちろん、今まで金属でかぶれたということがないという方でも、知らずに歯科金属のアレルギーがあるかもしれないので、金属パッチテストを行い、金属アレルギーがはっきりした場合には、詰め物を金属を使っていないものに変えてもらう治療をしてもらいます。

    ただ、いまある歯科金属を取り換えるのは簡単なことではないので、慎重な判断が必要です。金属を使わない歯科治療は、これまで保険の適応ではありませんでしたが、2016年から金属パッチテストを行い、金属アレルギーが確認された場合においては、保険で金属を使わない歯科治療ができるようになりました。

     

    そのほかに行う対応としては、中耳炎や副鼻腔炎、扁桃炎の治療を徹底することや、場合によっては耳鼻科の先生と相談のうえ、まれですが、扁桃炎の摘出術を行うことがあります。

治療費について

  • 治療費の目安

    保険診療において一般的な3割負担の場合で算定しています。1割負担の方は記載額の1/3、2割負担の方は2/3としてください。受診の際には初診料(850円)や再診料(220円)が必要となり、場合によって必要となる項目として外来管理加算(160円)や処方箋料(200円)等があります。また、処方薬がある場合には院外薬局で調剤料等(400~600円程度)がかかります。

     

    その他に必要に応じて以下の項目がかかります。

  • 汗疱の場合

    <代表的なステロイドの塗るお薬>

    ・マイザー軟膏5g×1本 31円

    <代表的な保湿剤>

    ・ヒルドイドソフト軟膏25g×1本 178円

     

    <顕微鏡検査をした場合>

    ・1か所につき 660円

     

    <汗疱で時に使われる自費物品>

    ・塩化アルミニウム液 602円(税抜)

    ・Dチューブ 1,800円(税抜)

  • 掌蹠膿疱症の場合

    <代表的なステロイドの塗るお薬>

    ・デルモベート5g×2本 86円

    <代表的なビタミンD3の塗るお薬>

    ・オキサロール10g×2本 693円

     

    <金属パッチテストが行われる場合>

    ・皮内反応18種類 試薬17種類 合計1,070円

     

    <ナローバンドUVB療法(光線治療)が施行される場合 >

    ・皮膚科光線療法 1,020円

     

    掌蹠膿疱症は初診時から1カ月以降の再診の際には、皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ)がかかります。

    ・皮膚科特定疾患指導管理料(Ⅰ) 750円

日常生活の注意点

  • 汗疱の場合

    汗でむれたり擦れたりするとでやすくなるので、手袋や靴下については必要最低限にするようにしてください。汗が悪さをするので、丁寧に優しくよく洗ってください。

    まったく良ければ様子見でも良いのですが、2週間以上症状が続く場合は水虫(白癬)の菌がかくれている場合もあります。そのときは状態を確認し、再度顕微鏡検査をするかもしれませんので、受診してください。

  • 掌蹠膿疱症の場合

    治療のところでも記載しましたが、掌蹠膿疱症はタバコと大きな関わりを持つ病気です。タバコを吸っている方には禁煙を強くおすすめします。ご自身が吸っていない場合であっても、ご家族の誰かが吸っていて掌蹠膿疱症になってしまう場合があります。副流煙も原因となりますので、その場合には生活の環境について、ご家族と相談をしてみてください。

     

    口の中の環境には常に注意をはらってください。1日2~3回の歯磨きを強くおすすめします。歯科治療でしっかり治すのはもちろんのこと、定期的な歯科検診も掌蹠膿疱症の方にはおすすめです。口の中の環境を整えるためや、扁桃炎をさけるために、常日頃から、うがいを心がけましょう。

    掌蹠膿疱症では関節の痛みが伴うこともあります。関節の痛みが強い場合には、痛みを考えた処方のお薬がでることがあるので、受診時にお伝えくださいむけかかった皮をむいたり、膿疱を針でつぶすような刺激は症状を悪化させるのでやめましょう。

     

    掌蹠膿疱症は患者さんにもよりますが、多くは3年~7年で軽快できるといわれています。早く治す為にしっかりと治療を行うことが大切です。

よくある質問

  • 足の皮むけがあるのに水虫ではないのですか?

    汗疱には菌はいません。水虫によく似ている症状ですが、水虫ではありません。治療法お薬も違いますので、自己判断せず、受診してください。

  • 皮むけはむいたほうが早く治りますか?

    無理にむいたりすると、ばい菌感染や悪化の原因にもなります。自然にむけていくのを待ちましょう。

  • まだ1歳ですが汗疱になりますか?

    1歳、2歳でもなることがあって、いままで使っていなかった汗の出口にワッと汗をかくようなときに多くみられます。

  • 掌蹠膿疱症は他の人に感染しますか?

    掌蹠膿疱症の膿疱の中には菌はいません。掌蹠膿疱症は細菌やカビの病気ではありません。見た目で水虫(白癬)に間違えられることもありますが、まったくちがう病気です。菌がいないにも関わらずあたかも菌がいる時と同じような免疫の反応がおこって、白くプツプツと膿を持っているのです。他に人に感染することはありません。

  • 何年も前におこなった歯科治療の金属も原因になるの?タバコも何年も吸っているのに?

    何年も前の歯科治療の歯科金属も原因になります。金属を入れてから何十年たったものでも、掌蹠膿疱症の原因になることもあります。また、タバコについても吸い始めてすぐに掌蹠膿疱症になるわけではなく、吸ってから何十年もたってから悪さをしてくることがあるのです。免疫の反応というのは、花粉症を考えていただくとわかるように、去年まではなんでもなかったのに、今年から花粉症になってしまったというように、ある時から免疫の反応が変わってくることがあるのです。

  • 足にプツプツと水疱になり水虫と症状が似ていますが、掌蹠膿疱症と水虫は違いますか?

    掌蹠膿疱症と水虫は似た症状ですが、全く違う病気です。治療法やお薬も違いますので、自己判断でお薬を使ったりせず、受診してください。

  • 皮膚以外に症状はありますか?

    皮膚以外に、鎖骨を中心に骨や関節などが痛くなる患者さんもいます。痛みが強い場合は必ず相談してください。

  • 金属アレルギーのパッチテストで調べる金属はどのような金属ですか?

    当院の金属パッチテストの項目は次の18種類です。

    アルミニウム、金、コバルト、水銀、スズ、鉄、白金、パラジウム、インジウム、クロム6価、イリジウム、クロム3価、銅、ニッケル、亜鉛、マンガン、銀、白色ワセリン(対象試薬として)

    チタンについては試薬にないため行っていませんが、歯科の先生と相談のうえ、チタンの金属片を持参いただければ検査は可能です。